杖立温泉 やまがや旅館

熊本県

 
杖立温泉では20近い宿泊施設が営業していますが、なぜかどのお宿も(湯治宿以外は)平均単価が周辺の温泉地よりちょっと高めに設定されており、1泊2食付きで4桁以内を希望していた私は宿の選定に困ってしまったのですが、そんな中でも今回は比較的リーズナブルな料金設定で私の希望に近かった「やまがや」さんで一晩お世話になることにしました。

●お部屋
 
一人で宿泊するにはもったいないほど広くて綺麗な和室。トイレは共用ですが洗面台は室内に設けられていました。便利ですね。

 
窓からは杖立川の流れや川に沿って建ち並ぶ温泉街、そして歩行者専用の「杖立橋」が眺められました。端午の節句の時季でしたら杖立名物の鯉のぼりが間近に楽しめる特等席になりそうですね。なお窓の真下に見える赤い屋根は、前回記事で取り上げた某共同浴場です。

●お食事

こちらのお宿でいただいたお料理には圧倒されました。次々と出される彩り豊かな献立・盛り付けの美しさ・ボリューム・そして美味しさ、その全てがとにかくスゴイのです。割烹料理の上品さと家庭料理の溌剌さ、女性らしさと男性らしさ、和と洋、などなど普通ならば拮抗しあう特色がハーモニーを奏でながら共存しており、「滋味豊かな地のものを味わいたい」という方も、「とにかく腹いっぱい食いてぇ」という方でも双方が満足できるような内容になっていました。
まず、画像の左からトロロのあんがかかった茶碗蒸し・蕨や芹の先付・鯉の洗い。

 
画像左(上)は甘鯛若竹の蒸し物、右(下)はお吸い物で若竹豆腐清まし。

 
画像左(上)は地元小国産の黒豚をオイスターソースで炒めたもの、右(下)は木の芽グラタン。


馬肉ステーキ・あさりの赤だし・ごはん。さらには食後のデザートも付きます。
これだけたくさん出されると、いくら無芸大食の私とはいえ胃袋が徐々に苦しみを訴え始めるのですが、でもバラエティーに富むメニューやそれぞれの美味しさが胃袋の苦しさを抑えこみ、気づけば結局全て完食してしまいました。


朝食もボリュームたっぷり。朝からしっかりいただいて、その日一日の鋭気を養いました。比較的オーソドックスな献立ですが、一品一品丁寧に料理されており、お宿の真心が伝わってきます。

●お風呂
 
お風呂は男女別の内湯のみ。建物自体はかなり年季が入っているのですが、随所にガラスブロックを多用したり、あるいは一見質素に見える脱衣室内にも手の込んだ意匠が施されていたりと、建築当時はかなり洒落た内装ではなかったかと想像に難くなく、しかも現在でもとても綺麗に維持されており、余計な張り紙や飾りが無いので上品な雰囲気です。
浴室で男女両浴室を仕切る壁にはガラスブロックにも用いており、向こう側が見えそうで見えない大人な雰囲気には、思わずため息が出てしまいます。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が計3基設置されています。天井を見上げると葦簀が張られていました。その天井からかあるいは別に通気口があるのか(はたまた単に窓が開いていただけなのか)、浴室内には常に外気も入ってくるため、お風呂にありがちな湯気篭りが全くなく、まるで半露天風呂にいるかのような空気感の中で湯浴みすることができました。

 
湯船は8人サイズの四角形で、角がとれて丸くなっているため、見た目に優しい印象を受けます。浴槽内にはエメラルドグリーンの小さな丸いタイルが敷き詰められており、お湯の揺らめきによって色合いを変えるそのタイルは、艶やかな美しさを魅せつけていました。
湯口からは熱い源泉が少しずつ投入されています。館内表示によれば気温の高い時には加水されているとのことですが、おそらく投入量を絞ることによって湯温を調整し、加水を極力減らしているのではないかと思われ、そのおかげで実に心地よい湯加減がキープされていました。放流式の湯使いですからお湯の鮮度感も良好。トロミのある滑らかな肌触りに癒される、優しいフィーリングのお湯です。
お湯は無色澄明、杖立の地獄釜から立ち上っているような噴気帯的な硫黄の匂いがほのかに漂い、微かな塩味と硫黄味が感じられました。

 
こちらには杖立温泉名物の「蒸し風呂」も設けられていましたので、もちろん利用させていただきましたよ。男女両浴室の奥にあって、室内では男女間が繋がっていますので、いわゆる混浴状態での使用となります。このためこちらのお宿では女性専用タイムが設定されていますので、詳しくは現地にてご確認を。いざ、体を屈めて小さな扉をくぐって内部へ潜入だ。


蒸し風呂の室内はこんな感じ(といっても半分以上は影になって見えませんね。ごめんなさい)。室内には茣蓙が敷かれており、そこへ大の字スタイルで仰向けになって、5~10分ほど蒸されるわけです。ほんのり硫黄の匂いが漂う室内で横になっていると、下の方からピチョンピチョンと水の滴る音が聞こえてくるのですが、それもそのはず、こちらの蒸し風呂では底に温泉を溜めて、そこから上がる湯気(熱)で蒸す方法を採っているんだそうです。いわゆるミストサウナ的なものですが、熱さはマイルドですし湯気の篭り方も軽度なので、一般的なサウナのような苦しさは感じられず、体への負担も少なく、気楽な感じで長い時間入ることができました。サウナが苦手な方でもこれなら利用できるでしょうね。

弱食塩泉(ナトリウム-塩化物温泉) 98.8℃ pH7.4 1260L/min(自然湧出) 溶存物質1679.1mg/kg 成分総計1679.1mg/kg 
Na+:459.9mg(85.20mval%),
Cl-:701.2mg(84.25mval%), SO4–:126.9mg(11.26mval%),
H2SiO3:244.1mg,
(昭和28年2月10日)
加温循環消毒なし、気温の高い時に水道水で加水

熊本県阿蘇郡小国町大字下城3396  地図
0967-48-0338
ホームページ

立ち寄り入浴時間不明
500円
シャンプー類あり(ドライヤーは客室にあり・脱衣室内には無し)

私の好み:★★★

コメント

  1. ぱと より:

    Unknown
    記事の内容とは無関係でが、づれづれ草のぽちさんが先日お亡くなりになられたそうです、それとR51から川原毛大滝湯に向かう道が土砂崩れの為、暫く通行止めになっています!

  2. ぱと より:

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    記事の内容とは無関係でが、づれづれ草のぽちさんが先日お亡くなりになられたそうです、それとR51から川原毛大滝湯に向かう道が土砂崩れの為、暫く通行止めになっています!

  3. ぱと より:

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  4. ぱと より:

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  5. K-I@仙台 より:

    Unknown
    こんばんは。
    川原毛の道の件、情報ありがとうございます。どの程度の崩れ方なのか気になりますね。もうすぐ湯滝が気持ちよいシーズンを迎えますから、開通が東北の梅雨明けに間に合えばいいのですが・・・。

    ぽちさんの件は本当ですか…。最近はブログの更新が止まっていたので、どうしたものかと心配していたのですが…。私はいまちょうど仙台にいるのですが、まさかぽちさんの地元でそんな知らせに接するとは思わず、PCのキーを打つ手が震えています。

  6. K-I@仙台 より:

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  7. K-I@仙台 より:

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  8. K-I@仙台 より:

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    こんばんは。
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  9. ぱと より:

    Unknown
    ぽちさんの件は事実の様です、東多賀の湯のブログにぽちさんの事に触れられていました、鳴子、栗駒、仙台を愛したぽちさんのご冥福をお祈り致します!

  10. ぱと より:

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  12. ぱと より:

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  13. K-I より:

    合掌
    私もさきほど別の方のブログを拝見しました。とても残念です。宮城県のみならず東北全てを愛し、きめ細かな温泉や観光の情報を私たちに提供してくださったので、本当に感謝しております。個人的には昨年9月に一度都内の会合でお会いしたのですが、その際はあまりしっかりとお話しできず、同年12月には肘折で一日違いで同じ宿ですれ違ってしまい、じっくりとお話できず仕舞でした。今度肘折で飲む約束を果たしたかった…。
    一人でも多くの方が東北を観光し、それによって各地域が盛り上がっていくこと、そして復興を前進させることこそ、ぽちさんの希望だと理解しています。女史のブログで紹介されている情報は今後も非常に有益ですし、私も何度お世話になったことかわかりませんので、ぽちさんのgooのアカウントが残っている限り、拙ブログからのリンクは張り続けたままにしておきます。

  14. K-I より:

    合掌
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  15. K-I より:

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  16. K-I より:

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  17. あまちゃん より:

    Unknown
    あたしはネット上しか知らない方でしたが 福島はたつみ荘さんのブログで七月五日の記事にぽちさん ガンで亡くなったと記されてます なんか 知り合いでなくても この情報には驚きますよね 温泉好きはどこかでなんとなくつながってる感じがしたので。大切に生きないとなあと実感させられますよね

  18. あまちゃん より:

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  20. あまちゃん より:

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  21. K-I より:

    Unknown
    あまちゃんさん、こんばんは。本当にショックです。今、PCモニターに映っている拙ブログの画面を見たら、トラックバックの半数はぽち女史の「づれづれ草」でした。ぽちさんが発信してくださる情報のおかげで、東北各地の多様な魅力と出会うことができ、そして観光客の一人として観光を通じた被災地支援に僅かながら力添えできたかな、と思っています。「づれづれ草」ファンの皆さんでしたらどなたも感じていることですが、ぽちさんはいつも、ツラい思いをしている人々や、これから立ち上がろうとする地域に目を向け、弱き者に寄り添いながらその現状を情報発信し、観光によって支援したくなる動機を私たちに与えつづけてくれました。しかしながら、今は東北における羅針盤を失った心境です。
    あまちゃんさんがおっしゃるように、日々を大切に生きていきたいものですね。

  22. K-I より:

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