嘉義県中埔郷 中崙温泉

台湾

拙ブログでもこれまでたくさんの温泉を紹介してきましたように、台湾では多種多様な温泉が湧出しているのですが、温泉は大地がもたらす天然資源ですから、各地域に遍く温泉地が存在しているわけではなく、その分布には偏りがあります。台湾南部の嘉義県は温泉が無いエリアの代表例なのですが、そんな嘉義県でもよく探せば、山奥でれっきとした温泉が湧出しているのです。そこで今回は、嘉義県唯一の温泉地と言われている中崙温泉を目指します。

 
嘉義の市街地から南東へ走り、台3線で徐々に山の方へ入って行くと、やがて中埔の街を通過し、上り坂の勾配が急になりクネクネカーブが連続するようになります。この台3線をどんどん登って中崙地区に入ると、道路右手に見えるのが「中崙澐水渓温泉」の跡地です。数年前までは中崙温泉唯一の温泉ホテルとして営業しており、屋外の温泉プールはもちろん、裸で入浴できる男女別の内湯もあり、日帰り入浴も可能だった利用価値の高い施設だったのですが、残念ながら廃業してしまい、上画像をご覧になればおわかりのように、現在では敷地内へ立ち入りできないよう高い塀で囲われていました。


「中崙澐水渓温泉」が営業していた頃は、周辺を散策する歩道も整備されていたようです。現在も案内地図は残っいるのですが、歩道は今でも歩けるのかどうか、わかりません。

さて、この「中崙澐水渓温泉」跡地から台3線をちょっと戻り、途中から山奥へ入る細い道をどんどん進んでゆくと、現在の中崙温泉で営業している唯一の温泉宿「中崙温泉民宿」にたどり着きます。民宿へのアクセス路は狭くて急勾配の連続なのですが、随所に道標が立っていますし、全面舗装されていますので、普通乗用車で全く問題なくたどり着けます。

 

民宿とはいえ、敷地内に入って目に入ってきた光景は、山林を切り開いて個室風呂や宿泊ロッジの小さな建物をたくさん並べたような感じで、民宿というよりロッジの集合体といったような雰囲気です。

 
受付棟には天然温泉であることを証する公的機関発行のプレートが掲示されていたのですが、本来は金属製プレートであるはずにもかかわらず、なぜかここではデジカメで撮ったものをプリントアウトしたと思しき画像が貼り出されていました。なにか込み入った事情でもあるのかな?

 
この敷地内で目を惹くのが、グレーに濃く濁ったお湯が湯気を上げている、大きくて丸い泥湯の池です。池の前が駐車場になっていたので、そこへ車を止めてドアを開けると、忽ち池から温泉の匂いがはっきりと香ってきました。山を越えた南側には台湾屈指の温泉地である関子嶺温泉があり、関子嶺温泉といえばアブラ臭を漂わせながらグレーに濁る泥湯で有名ですが、おそらく同じような性質を有する温泉脈が山を越えたこちら側にも及んでいるのか、この池から漂う匂いも、関子嶺温泉と同じく、油性の版画インクを連想させるような、鼻腔をツーンと刺激するアブラ臭でした。

 
池の底からはブクブクと音を立てながら絶え間なく泡が上がっていました。その勢いから判断するに、間違いなく人為的な気泡であり、泡によっていかにも池で泥湯が自噴しているかのような雰囲気を演出しているのでしょうけど、実際にこの池で湧出しているか否かは不明です。でも、池の淵には泥がたっぷり溜まっている箇所があり、その泥の表面でも、ものすごく自然な感じでプクップクッと泥が小さく噴き上がっていましたから、もしかしたら本当にこの池の底で泥温泉が自噴しているのかもしれません。

 

こちらの施設には大浴場はなく、入浴したければ個室風呂を利用することになります。目の前に空いているお風呂があったので、できれば入浴したいなと思って、受付棟へ向かって係りのおばちゃんに料金を聞いたところ、なんと550元(2000円弱)という、田舎の温泉にふさわしくない高額であることがわかったのです。しかもこれは平日料金であり、もし休日だったら650元に跳ね上がるとのこと。個室風呂は2人以上の利用を前提としており、しかも源泉温度が40℃に満たないぬるい温泉を加温させているため、このような値段設定になるのでしょうね。私は一人ですし、この値段には納得がいかなかったので、お風呂を目の前にしておきながら、今回は入浴を見送りました。その代わりに個室風呂の内部を見学させていただくことに。
一丁前のお金を取るだけあって、個室風呂内はそこそこ広く、浴槽の造りもゆったりしています。使っていない時の浴槽は空っぽになっており、利用の度に温泉を張り替える(使い捨てる)システムになっています。ということは、利用の都度、誰の肌にも触れていない状態のお湯に入ることができるわけですね。
惜しいことに私はここで湯浴みしませんでしたが、もしお金と時間に余裕がある方は、こちらで泥湯を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 
上述で触れた泥湯の丸い池に関して、私は本当にこの池で泥湯が湧出しているのか疑わしいという旨を申し上げましたが、何も根拠が無く適当に言っているわけではなく、長年にわたる温泉巡りで体得した勘が働いたからこそ、そのように申し上げたのです。その勘を実証すべく、私は丸い泥池から、細い道を辿ってさらに山奥へ登ってみることにしました。すると、泥池から数分のところでコンクリの大きな躯体を発見しました。その物体には山の上から伸びてきている黒いホースが差し込まれており、コンクリ物体の上からは湯気が上がっているではありませんか。どうやらこの大きなコンクリ躯体は温泉の中継タンクのようです。ということは、中崙温泉の源泉は、この山の上にあり、そこから黒いホースで引湯しているわけですね。私の勘は見事的中していました。黒いホースを握ってみるとあたたかかったので、黒いホースの中を温泉が流れていることに間違いありません。

 
ならば、このホースを辿れば中崙温泉の源泉に行き着くはず。湯浴みできなかった代わりに源泉は見ておきたい。そう思って、獣道に沿って山の上へ上へと伸びる黒いホースを辿ってみたのですが、山を登れども登れども、辿れども辿れども、ちっともホースの先が見えてこない・・・。そのうち山に濃霧が掛かって雨が本降りになってしまったため、源泉探索も途中で諦めて山を下ることにしました。
嘉義県唯一の温泉であるこの中崙温泉は、残念ながら私との相性があまり良くないみたい…。もう少し手軽な料金設定だったら入浴する気にもなれたのですが、550元はちょっと高いよなぁ。個人的には「中崙澐水渓温泉」の復活を望みたいところです。

37.7℃ 氯化物碳酸氫鈉鹽泉(日本語に直訳すると「塩化物炭酸水素塩泉」となるはず)

嘉義県中埔郷中崙村4-29號  地図

10:00~20:00(18時以降は要予約)、6~10月は水曜定休
個室風呂(2人利用時):平日550元・休日650元(いずれも90分間)

私の好み:入浴していないので評価不能

コメント

  1. ももママ より:

    中崙温泉
    中崙温泉、私どもも行ったのですが、閉鎖されていました。その後、再び営業が再開されたと聞いたのですが、ほどなくまた閉鎖となり、もう再会される気配はないようですねえ。

    K-Iさんは中崙温泉民宿にも行かれたのですね。
    私どもも行ってみたのですが、残念ながらどなたもいらっしゃらなかったので、中に入ることもできず、すっかり無駄足となってしまいました。

  2. ももママ より:

    中崙温泉
    中崙温泉、私どもも行ったのですが、閉鎖されていました。その後、再び営業が再開されたと聞いたのですが、ほどなくまた閉鎖となり、もう再会される気配はないようですねえ。

    K-Iさんは中崙温泉民宿にも行かれたのですね。
    私どもも行ってみたのですが、残念ながらどなたもいらっしゃらなかったので、中に入ることもできず、すっかり無駄足となってしまいました。

  3. ももママ より:

    中崙温泉
    中崙温泉、私どもも行ったのですが、閉鎖されていました。その後、再び営業が再開されたと聞いたのですが、ほどなくまた閉鎖となり、もう再会される気配はないようですねえ。

    K-Iさんは中崙温泉民宿にも行かれたのですね。
    私どもも行ってみたのですが、残念ながらどなたもいらっしゃらなかったので、中に入ることもできず、すっかり無駄足となってしまいました。

  4. K-I より:

    Unknown
    ももママさん、こんばんは。
    やはり閉鎖されていましたか。しかも民宿の方にも縁がなかったとは(涙)。あそこは「わざわざ行く」と表現したくなるような場所ですから、空振りだったときの徒労感はどれほどだったかとお察しします。温泉が溜められていた丸い池から放たれていたアブラ臭は、関子嶺温泉にも引けを取らない本格的なものでしたから、きっと入浴すると良い想い出になるのかもしれませんね。

  5. K-I より:

    Unknown
    ももママさん、こんばんは。
    やはり閉鎖されていましたか。しかも民宿の方にも縁がなかったとは(涙)。あそこは「わざわざ行く」と表現したくなるような場所ですから、空振りだったときの徒労感はどれほどだったかとお察しします。温泉が溜められていた丸い池から放たれていたアブラ臭は、関子嶺温泉にも引けを取らない本格的なものでしたから、きっと入浴すると良い想い出になるのかもしれませんね。

  6. K-I より:

    Unknown
    ももママさん、こんばんは。
    やはり閉鎖されていましたか。しかも民宿の方にも縁がなかったとは(涙)。あそこは「わざわざ行く」と表現したくなるような場所ですから、空振りだったときの徒労感はどれほどだったかとお察しします。温泉が溜められていた丸い池から放たれていたアブラ臭は、関子嶺温泉にも引けを取らない本格的なものでしたから、きっと入浴すると良い想い出になるのかもしれませんね。

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