重慶市南岸区 海棠暁月温泉 その2(入浴)

中国

前回記事の続編です。

私が宿泊した中国・重慶市のホテル「海棠暁月温泉」はその名の通り温泉浴場を擁しています。都市部の真ん中だというのに、なんと大小合わせて52もの浴槽やプールがあるんだとか。中国は何事も規模が大きいですね。宿泊客は無料で利用できますから、早速行ってみることにしましょう。


上述のように私は宿泊したので、ホテル棟2階にある宿泊者専用の出入口を利用しました。日帰り入浴客は専用の出入口と受付があり、面している通りもホテルとは異なるそうですからご注意願います(「海棠暁月」バス停から南坪東路を西へ進み、十字路を北へ曲がって暁月路を進んだ先の右手が、日帰り専用の建物です)。


宿泊者専用の更衣室は綺麗ですがコンパクト。係員のおばちゃんからタオルを受け取ります。


園内は都市の真ん中とは思えないほど緑が豊かで、表通りの喧騒が嘘のような静寂に包まれています。
このように大きなプールがあったり・・・


バリのリゾートを思わせる設えの露天風呂があったり・・・


このような岩風呂があったり・・・


何やらテーマが設定された浴槽があったり・・・


大きな築山につくられた人工的な洞窟の中にも・・・


薬湯や仕掛けを備えたお風呂などがあったり・・・


ウォータースライダーまであったり・・・
全部で52もあるんですから、形状や大きさ、仕掛け、装飾、入浴剤の種類など、とにかく多種多様。全部挙げていたらキリがありません。でもその殆どは残念ながら温泉マニアを満足させるようなお湯ではありませんでした。天然の温泉らしさが全く感じられないのです。端的に言えばお湯のテーマパークであり、趣向を凝らした各浴槽は別に天然の温泉でなくとも、入りやすい温度であれば、水道水を沸かしたお湯でも全く差し支えなさそうなものばかり。湧出量は日量2500トンなんだそうですが、そんなに汲まなくても良いのではないかという疑問が頭をもたげます。もちろんご当地の方はこのような多様性と規模を望んでいらっしゃるので、他所の国の人間が文句を言う筋合いはありませんが、でもせっかくなら源泉の個性を味わえる浴槽がほしい・・・。そう願いながら園内を散策していると、ついに見つけました。
数多ある浴槽群の中でも、私が注目したい浴槽はこれです↓↓↓


日帰り入浴の受付から最も遠いところ、且つホテル棟から非常に近いところに位置しているこのアメーバのような形状をした浴槽です。お湯の色にご注目。


モスグリーンを帯びた黄金色に濁っていますね。
他の浴槽は無色透明か、あるいは入浴剤の色を呈していたのですが、ここだけ明らかに色合いの毛色が異なっているのです。もうお分かりかと思いますが、この浴槽こそ源泉そのままのお湯なのです。みちのくや九州の温泉で出会えそうな色の温泉ですね。


この浴槽には源泉がボコボコと音を立てて噴き上がる上がり湯のようなモニュメントが設けられています。
噴き出すお湯は透明ですが、圧力が下がり空気と触れることにより濁りが発生するのでしょう。


側面にはご覧のように析出が凸凹とビッシリ付着しており、お湯の濃さを物語っていました。
この噴き出し口のお湯をテイスティングしてみますと、金気の味と匂いが感じられ、またカルシウムらしい硬い味も伝わってきました。この金気に関しては湯口よりも酸化が進んでいる浴槽のお湯の方が強く感じられます。湯船では引っかかる浴感が得られ、湯上がりには肌がシットリ潤い、体の芯までしっかり温まります。
お湯のタイプとしては前々回記事で取り上げた融匯温泉と同系統であり、こちらでは硫酸钙镁泉(カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉)と表現する泉質です。日本式に表現すれば塩化土類泉の一種ではないでしょうか。でも融匯温泉より重さや硬さがマイルドであるような気がします。
こちらを訪れるお客さんの多くは、他のバラエティ性豊かな浴槽で湯浴みを楽しんでいらっしゃいましたが、私はひたすらこの源泉浴槽に入り続けました。

 
館内表示によると、この温泉は地下3000メートルから汲み上げているんだとか。現代のボーリング技術はすごいですね。源泉(ご当地の表現では「泉眼」)の湧出温度は52.8℃で、湧出量は日量2500トン(毎分1.7トン)。そんなに汲み上げて大丈夫なのかしら(というかこの数値は本当なのかしら)。


当施設における温泉水の処理方法に関しても説明がありました。源泉(泉眼)からくみ上げた温泉はまずマンガン砂のタンク(锰砂罐)で濾過され、貯水槽でストックされたのち、各浴槽へ「不断的注入」され(つまり絶え間なく注がれ)、それによって各浴槽の温度が維持されるとともに、オーバーフローも行われ、且つ毎晩深夜1時には浴槽のお湯を排出して綺麗にしていますよ、とのことです。


ちなみに夜にはムーディーな雰囲気に変貌。深夜1時まで営業しています。
静かでのんびりとした雰囲気の中、私はゆっくりとお風呂に入り、存分に寛がせていただきました。
なんだかんだで、重慶の温泉は面白いですよ。

硫酸钙镁泉(カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉) 52.8℃ 2500t/day

重慶市南岸区南坪東路589号(重庆市南岸区南坪东路589号)

9:00~25:00
日帰り入浴158元(日によって異なるようです)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーなど完備

私の好み:★★
(源泉の浴槽は★★★)

コメント

  1. ぬる湯マスター より:

    Unknown
    こんばんわ^^。
    ここしばらくは重慶の更新となっておりますが、
    いや、これはまた日本の温泉情緒とは違うものの、
    ウォータースライダーまであるとは驚きです!
    しかも破格の湧出量なのですな!驚愕の数値です!
    ここまでの湧出量なら消息など必要無いでしょうし、
    フレッシュなお湯に入り放題なのでしょうね^^b
    私も最近、ホームコースのゴルフ場の付近に、
    源泉掛け流しの温泉施設があるとの情報を得、
    近日中に調査しようと思っております。
    御殿場にもちゃんと温泉が出ているとは…!
    私好みの、ぬる湯であると良いのですが^^b

  2. K-I より:

    Unknown
    ぬる湯マスターさん、こんにちは。
    公称の湧出量は大変多いのですが、本文中にもあるように、そのほとんどがろ過処理されているため、源泉浴槽以外ではフレッシュさを感じることができませんでした。濁り湯よりも処理された透明なお湯の方が、現地では好まれるのかもしれませんね。
    御殿場で掛け流しの温泉ですか。富士山が見える場所に温泉は湧かないと言いますが、いまはそんなことも無いのですね。お好みの温泉だと良いですね。

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