春日部温泉 湯楽の里

東京都・埼玉県・千葉県

地球が今より暖かかった太古の昔、東京湾は現在よりもはるかに大きく、現在の栃木県付近まで海岸線が入り込んでいました。その後、海は徐々に現在の位置まで退いていきましたが、当時の海水は地中深くに染み込んで溜まり、じっくり温められ、化石海水型の温泉として現在まで関東平野の地中で存在し続けています。
埼玉県の平野部ではこの化石海水を各地で汲み上げて浴用に活用されており、温泉ファンも太鼓判を捺すような名湯も多いのですが、今回はそんな化石海水型温泉の典型例である「春日部温泉 湯楽の里」へ行ってまいりました。私個人としては3回目の訪問ですが、拙ブログでは初登場です。

「湯楽の里」は関東の温泉ファンなら誰しもが知っているであろう有名なスーパー銭湯チェーンであり、その半数で天然温泉に入ることができます。しかも、さらにその一部ではスーパー銭湯でありながら掛け流しの湯使いを実践しており、首都圏にいながら良質な温泉を楽しめちゃうのです。
今回私は電車とバスを乗り継いで現地へ向かうことにしました。


まずは東武線の春日部駅で下車。駅名標の上では、ご当地のヒーロー的存在である「クレヨンしんちゃん」がお出迎え。


東口のロータリーから平成エンタープライズという聞きなれない会社の路線バス「南桜井駅」行に乗車します。なお運賃の支払いに交通系ICカードは使えません。現金のみですから予め小銭の用意を。


駅から乗ることわずか数分、2つ目のバス停で下車します。浴場名がバス停の名前にもなっているんですね。わかりやすいですね。


こちらが「春日部温泉 湯楽の里」の正面ファサード。以前訪れた際は、車で直接駐車場に入ってしまったので、こうしてまじまじと正面の姿を見るのは、私にとっては初めてかもしれません。


玄関付近の植え込みの中には、源泉関係と思しき施設がありました。


下足場には100円リターン式のシューズロッカーがあり、この鍵を受付に差し出して館内精算用のリストバントと引き換えます。下足場には温泉井を掘削する際に使われたボーリングピットが展示されていました。地下深くから動力揚湯する必要がある首都圏近郊の温泉スーパー銭湯では、必ずと言って良いほどピットが飾られていますね。なおこちらでは1500メートル掘削したそうです。


受付がある1階には食堂やマッサージコーナー、ゲームコーナーなど、温泉の付帯設備が配置されています。肝心のお風呂は2階です。2階へ上がる階段には春日部の名物大凧の大凧がつりさげられていました。いや、実際には春日部と言うより、合併する前の旧庄和町の名物と言った方が正しいのかもしれません。

多くのお客さんが利用する都市部のスーパー銭湯にしては、脱衣室はやや狭いように感じられ、パウダーゾーンも同様に狭いのですが、衣類や荷物を収めるロッカーはコイン不要で使えますので、その点は便利と言えましょう。

内湯は奥行が長い造りで、縦長の長方形の中央に洗い場が配置され、その洗い場付近にかけ湯が2ヶ所(脱衣室出入口付近と水風呂横)、そして高温サウナや水風呂なども並んでいます。長方形の奥にはジェットバスの浴槽と炭酸風呂が隣り合っているのですが、いずれも真湯の沸かし湯であり、温泉ではないようです。

一方、露天風呂では温泉が多用されています。
以下、公式サイトの画像をお借りしています。


露天ゾーンはテラスの上に設えられたお庭のような造りになっており、寝ころび湯、源泉風呂、岩風呂、寝湯、壺湯(3つ)といった浴槽が設けられています。これらのうち、温泉が使われているのは源泉風呂・岩風呂・壺湯の3種類です。


露天の主浴槽とでも言うべき岩風呂。お湯に関する委細は後述しますが、黄土色に濃く濁る温泉が岩に囲まれた浴槽いっぱいに湛えられ、オーバーフローが流れる床は赤茶色や黒色に染まっています。この岩風呂は屋根が掛かっていますので、多少の雨なら凌げるでしょう。


岩風呂よりちょっと高い位置に設けられているのが源泉風呂。こちらには小さな滑滝みたいな湯口があり、源泉が注がれています。源泉風呂を満たしたお湯が上述の岩風呂へと流れ落ちてゆくので、この源泉風呂の方がお湯の鮮度感は良いかと思います。施設の説明によれば、この浴槽では暖かい時期に加温なしでお湯を供給しているとのことで、私の訪問時は初夏でしたから非加温状態だったかと思われますが、非加温(源泉湧出温度43℃)にしてはかなり熱く、長湯することができない程でした。


岩風呂や源泉風呂からちょっと離れたところで並んでいるのが3つの壺湯。こちらにも岩風呂や源泉風呂と同じ温泉が注がれているのですが、私の体感で申し上げると、3種類ある温泉仕様の浴槽の中でもこの壺湯が最も浴感が良く、お湯の個性がはっきり且つしっかりと全身に伝わってきました。人が入るたびにお湯がザバーッと溢れ出て、その都度供給され続けますから、お湯のコンディションが良かったのでしょう。

冒頭でも申し上げましたように、こちらの温泉は化石海水型の典型例。お湯は黄土色に濃く濁り、その透明度は30~40cmで、お湯が触れる浴槽の縁や床などは赤茶色に染まっています。強い鹹味とにがり味、そして少々の金気味が感じられ、メタンガスを思わせる鉱油的な匂いも嗅ぎ取れます。この匂いとともにお湯からはハロゲン系のツンとくる弱い刺激臭も確認できたのですが、こちらの匂いは源泉由来なのか消毒なのか不明。お湯に浸かるとツルスベの滑らかな浴感と引っかかる浴感が拮抗して肌に伝わってきます。
非常に濃い食塩泉ですから夏は強烈に火照り、決して長風呂ができません。私もある程度源泉のお風呂に浸かると、体力が奪われそうになるので、内湯へ戻って水風呂でクールダウンさせてもらいました。一方、寒い冬には体の芯から温まるばかりか温浴効果が長時間持続しますから、寒さ知らずの心強い味方になってくれるでしょう。

温泉を使用している露天ゾーンの3浴槽では放流式の湯使いを実施しているとのこと(季節により加温あり)。いずれの浴槽でもなかなかの投入量が保たれているのでお湯のコンディションが良く、なるほど掛け流しであるということを実感させてくれます。スーパー銭湯であることを忘れてしまうほど、非常に個性的なお湯を楽しむことができました。

ナトリウム-塩化物強塩温泉 43.0℃ pH7.27 320L/min(動力揚湯) 溶存物質17.250g/kg 成分総計17.279g/kg
Na+:5655mg(84.10mval%), NH4+:16.7mg, Mg++:209.2mg(5.88mval%), Ca++:207.7mg(8.66mval%), Fe+++:3.4mg,
Cl-:10340mg(98.61mval%), Br-:39.9mg, I-:12.5mg, S2O3–:0.1mg, HCO3-:211.7mg,
H2SiO3:47.7mg, HBO2:103.9mg, CO2:29.7mg,
(平成26年11月11日)
加水・循環なし
加温することあり(気温の低い時、熱交換により加温)
消毒あり(衛生管理のため通年二酸化塩素剤を適宜添加)

埼玉県春日部市小渕105-1
048-755-4126
ホームページ

9:00~25:00(受付終了24:30)
平日780円、土休及び特定日980円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

コメント

  1. ぬる湯マスター より:

    Unknown
    こんばんわ^^。
    おや!?これは湯楽の里ですよね!?
    あの西橋本、六地蔵の先にあるのも湯楽の里。
    同じ施設でも、地域が違うとこうも違いますか、、、。
    あの六地蔵の湯楽の里は最悪でしたよ。
    地元の古淵温泉お風呂の王様でもそうですが、
    湯楽の里の消毒臭は、もはや激臭と言っても過言ではありません!
    ご飯も美味しくない(><)!お風呂の王様は、
    ご飯は中々美味しいから許せるんですが、、、。
    うーむ、地元にももう少し良いコンディションで入る事の出来る、
    温泉施設が欲しい所ですねぇ、、、。

  2. K-I より:

    Unknown
    ぬる湯マスターさん、こんにちは。
    西橋本というと下七沢でしょうか。私は10数年前に一度行ったきりなので、詳しく覚えていませんが、機会があれば再訪し、自分の感覚でも確かめてみます。たしかに残念ですが、不特定多数のお客さんが利用するスーパー銭湯は、ある程度は致し方ないのかな、と割り切っています。温泉施設の運営はなかなか難しいんでしょうね。

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