百沢温泉 2020年11月再訪

青森県


岩木山の山麓に位置する岩木山神社は津軽を代表する神社ですが、この神社のまわりには温泉が多く、拙ブログでも今までいろんな温泉を取り上げてまいりました。そんな中でも「百沢温泉」、特にマニアからは株百沢などと呼ばれている株式会社百沢温泉は、泣く子も黙る名湯であり、これまで数多の温泉ファンによってフィーチャーされています。拙ブログでも10年前に一度取り上げておりますが(当時の記事はこちら)、どういうわけかそれ以来ご無沙汰だったので、久しぶりに再訪することにしました。


以前は宿泊営業も行っていましたが、現在は日帰り入浴のみの営業です。お風呂には一般的な公衆浴場のほか家族風呂もあるため、私としては家族風呂を使いたかったのですが、事前予約制であり、また訪問時はあいにく全て利用中だったため、公衆浴場へ向かうことにしました。


番台近くの券売機で料金を支払って、おじさんに券を渡し、昭和から時が止まっているかのようなの渋い色合いのホールを抜けてお風呂へ。館内の内装こそ昭和から時の流れが止まっていますが、しっかり清掃が行き届いており、つい最近まで旅館業を営んでいたんだというような矜持が感じられます。


さぁ、暖簾を潜りましょう。脱衣室はシンプルな造りでそこそこ広く、エアコンはないものの扇風機が用意されているので、湯上がり後のクールダウンも問題ありません。


多くの温泉愛好家たちを感動させてきたこの浴室。かく言う私も何度もこのお風呂にはお世話になりました。久しぶりの訪問ですが、浴室の様子は以前とほとんど変わっていません(以前の記事はこちら)。
洗い場は二手に分かれており、手前の壁側に宝式(押しバネ式)カランと壁直付けの固定式シャワーという青森県の温泉銭湯おなじみの組み合わせが5セット並んでいます。また、中央の柱には同じく宝式カランのお湯と冷水の組み合わせ5セットが柱を囲むように設置されており、2ヶ所に柱直付けの固定式シャワーが付いています。なおカランから出てくるお湯は温泉です。


洗い場の近くには、小さくて浅く、そして熱めの浴槽があります。


床には赤茶色に染まり、鱗状の析出が幾重にも覆って分厚い層をなしています。豊富な湯量とともに、こうした析出によるビジュアル的な迫力もこの温泉の大きな特徴です。


百沢温泉といえばこのラッパをつぶしたような湯口。百沢温泉の代名詞的な存在でもあります。同じ会社が経営している系列の「あたご温泉」や「広田温泉」でも見られますね。この平たい金属製の湯口からふんだんに温泉が吐出され、そのお湯が析出こってりの赤茶色い床へ惜しげもなくオーバーフローしている様を見ると、あぁ津軽まで来た、あぁ岩木山へ上がった、あぁ百沢に入っているんだ、と実感できます。

お湯は緑色を帯びた黄土色に濁っており、塩味と金気、苦味。そして明瞭な炭酸味が感じられます。岩木山の南東麓や南麓には、同様の特徴を有する塩化土類泉が点在しており(三本柳温泉や湯段温泉など)、百沢温泉はその代表的な存在と言えるでしょう。この手の温泉へ入浴すると、得てして肌にキシキシと引っかかっる浴感を得られるのですが、百沢の場合はその引っかかり感に滑らかなツルスベ感が混ざっており しかも不思議な軽やかさも肌に伝わってきます。とにもかくにも名泉であることに間違いありません。

浅妻1号泉(再分析)
ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉 44.1℃ pH6.6 湧出量測定不能(掘削動力揚湯) 溶存物質3.432g/kg 成分総計3.811g/kg
Na+:489.1mg(44.47mval%), Mg++:170.1mg(29.25mval%), Ca++:220.1mg(22.96mval%), Fe:3.3mg,
Cl-:1034mg(58.77mval%), Br-:2.1mg, I-:0.9mg, HCO3-:1167mg(38.51mval%),
H2SiO3:206.5mg, HBO2:21.9mg, CO2:379.1mg,
(平成31年2月6日)
加温加水循環消毒なし

青森県弘前市大字百沢字寺沢290-9  
0172-83-2226

10:00~22:00
330円
ロッカー・ドライヤーあり、石鹸やシャンプーなどは販売

私の好み:★★★

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