法林寺温泉

富山県

 
金沢郊外の某温泉に入っているとき、そこの常連客の一人から「法林寺温泉はこの界隈じゃ珍しく掛け流しだよ」と教えてもらったので、どんなお湯なのか日帰り利用で行ってみることにしました。場所は富山県南砺市から医王山の麓を通って石川県金沢へ抜ける県道27号沿いで、沿道に立っている看板から分かれる路地を下っていった突き当たりに鉄筋コンクリ造の建物が聳えたっています。他に宿らしきものは無く、こちらのみの一軒宿のようです。

訪問した時にはすっかり日が暮れてしまい、しかも雨が降り続いていたため、外観を撮影してみたものの、ほとんど影形がわからない画像となってしまいました。玄関脇に掲げられている扁額には「自噴しています かけ流しです」と書かれてるではありませんか。否が応にもお風呂に期待しちゃいますね。


フロントで係員に直接料金を支払い、奥へと進みます。
宿泊施設であるこちらの施設は地域の公衆浴場的な利用もなされているようでして、私が訪れた夕方5時過ぎには入浴目的のお客さんが続々と車でやってきて館内へと吸い込まれていたのですが、その多くは年配の男性客であり、男女比率は圧倒的に男性が多い状況でした。
北陸地方は今でも封建的な風土が残っているため、公衆浴場など外湯は男湯と女湯で混雑時間帯が異なり、男湯は夕方4時頃から6時半まで集中的に混むものの他の時間帯はガラガラ、一方女湯は夕飯の支度に取りかかる前に入浴するのでそれよりも早い時間帯(あるいは夕食後&食器洗い後の遅い時間)に混む、という話を聞いたことがあり、実際に北陸各所の温泉施設へ赴くと見事なまでにその傾向が見られたので、伝統的封建社会がすっかり陋習と化している都会で育った私にとってはかえってその現象が新鮮に映るのですが、その現象はこちらでもはっきりと現れておりました。

 
フロント前のちょっとした休憩スペース脇に伸びるスロープを上がると、その突き当たりには観音様が祀られた仏壇があり、左が女湯、右が男湯の入口となっていました。観音様に関しては仏壇の脇に説明があり、曰く「各地の温泉地は薬師如来様ですが、当館は安居寺観音様のお告げに依り堀搾したところ温泉が噴出しましたので聖観音菩薩様をお祠りしました」とのことです。

 
脱衣室はそこそこ広くて使いやすく、木目の化粧板が貼られた棚はすべて無料で使えるロッカーとなっていました。木目の多用により、温かく柔らかな雰囲気が醸し出されています。なお洗面台は3台あり、ドライヤーは2台使える状態でした。

 
浴室は斜めにカットされた三角形のような空間であり、脱衣室側の壁にシャワー付き混合水栓が9基一列に設置されています。

 
浴槽は浴室に合わせた三角形の形状で、内部はブルーのタイル貼り、三角形の頂点側半分は半身浴に適した浅さで6~7一サイズ、逆に底辺側(窓側)はやや深めの造りで7~8人サイズになっています。浴槽の奥にはステンレスのボックスから立ち上がってる立水栓(グースネック)が取り付けられており、飲泉可能な源泉が吐き出されていました。水栓は温泉成分により白く覆われており、特に蛇口まわりには硫酸塩らしき白い析出が付着していました。ウェブ上にアップされているパンフのPDFによれば、湯使いは源泉掛け流しで加温加水循環なしとのこと。

お湯はほぼ無色透明と言いたいところですが、明らかにボンヤリと白く霞んでおり、この霞みは源泉由来なのか、あるいは混雑時間帯ゆえのお湯の疲れなのかはよくわかりません。でもお湯からはしっかりと鮮度感が伝わってきたので、おそらく前者なのかもしれませんね。飲泉してみると微かに塩味と芒硝味、そして芒硝臭を有しているようでしたが、味・匂いともにかなり薄く、浴感を含めて癖の少ないさっぱりとしたお湯であるように感じました。

 
内湯の窓の向こう側には、とってつけたような露天風呂が据えられていました。浴槽の縁は木が嵌め込まれているものですが、とても狭くて2~3人が精一杯な容量、しかも露天の空間自体も幅が2.5m程度しかなくて、とても開放感が得られるような空間とは言えません。またお湯の投入量も少ない上に外気による冷却も加わり、湯加減もかなりぬるめでした。このため、私の利用時に露天風呂を利用するお客さんは少なく、敢えて露天に入る方はぬるい湯船でじっくり長湯することを目的としているようでした。

上述にて北陸の公衆浴場における男湯の混雑時間帯は6時半までと述べましたが、こちらのお風呂でも私が入った5時半頃は非常に混んでいたものの、6時半に近づくにつれて徐々に客数が減ってゆき、6時半を過ぎると、今回の記事でアップしている画像が容易に撮影できるほど、浴室から客の姿がことごとく消えてしまいました。
今回は混雑時間帯に利用したためにお湯が持つ本来の良さをあまり実感できなかったのですが、また再訪できる機会があれば、昼間の空いている時間帯に利用して、改めてお湯の質感を再確認してみたいと思います。

 
湯上がりにご当地物の瓶牛乳をゴクリと飲み干しました。この「石畠牧場」牛乳には初めてお目に掛かったのですが、地方の牛乳らしい濃厚な味、そして瓶を抱く赤ちゃんのイラストがとっても印象的でした。

法林寺温泉1
ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 45.6℃ pH9.22 38L/min 溶存物質1079mg/kg 成分総計1079mg/kg 
Na+:312.8mg,
Cl-:222.9mg, SO4–:426.1mg,
H2SiO3:31.9mg,

富山県南砺市法林寺4944  地図
0763-52-4251
ホームページ

8:00~21:00 元旦休業
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

コメント

  1. 法林寺温泉 より:

    ご来湯ありがとうございます
    ものすごい詳細のレポートを拝見させていただき感服しました。
    写真と説明がすごくよかったです。
    白い霞は湯の疲れです。一日たくさんの方がおいでになりますので、循環なしのこの時間帯では、どうしても不純物が残るのは仕方ないとご理解下さいませ。(女湯の方はさほどではありません。)
    また、ぜひ朝方に来て頂きお湯を堪能して頂きたく思います。

  2. K-I より:

    Unknown
    法林寺温泉様
    弊サイトをご覧下さりありがとうございます。一見の客にすぎない私が生意気を申しあげまして恐縮です。界隈では貴重な掛け流しの湯使いを実現している貴宿のお湯をじっくり楽しませていただきました。白い霞はやはりそういうことだったんですね。むしろ循環をしていない証であるとも言えますね。是非次回は混雑する前に利用させていただきたく存じます。

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