※残念ながら2015年6月に閉館してしまいました。
加賀井温泉「一陽館」のすぐ手前に位置する鄙びた温泉旅館。訪なうと玄関ホールはガランとしており、声をかけてもなかなか人が現れず、何度か大声を張り上げてようやく受付していただきました。
廊下を奥へ進んでいった突き当りが浴室の入り口。その手前はちょっとしたホールになっていて、温泉旅館には欠かせない?卓球台が置かれていました。
またそのホールには、温泉成分の付着(スケール)によって口径が細くなってしまった温泉配管と、そのスケールが展示されており、ここの温泉がいかに濃いかを如実に示しています。わずか1年でこんなに詰まっちゃうんですね。メンテナンスには相当ご苦労されているんでしょう。このスケールは自由に持ち帰れるようですが、私は遠慮しておきました。
壁面が緑一色に塗りたくられた浴室には、カランが5基と内湯。カランはあまりお湯の出がよろしくなく、また内湯は真湯を循環させているものでした。ここでは体を洗うだけにして、そそくさと奥の浴室へ向かいました。
奥の浴室は浴槽があるのみ。周囲は緑のペンキで塗られたブロック塀で囲われ、その上に透明のアクリル波板を載せて屋根にしたような造りです。外の光がたっぷり注ぎこまれるので明るいのですが、安普請っぽさは否定できず、温泉風情はいまいち。でも通風は良いので、湯気が籠るようなことはありませんでした(温泉に含まれる炭酸ガスを逃がす目的があるようです)。
浴槽には一陽館の1号泉みたいに明るく濃くはっきり濁った橙色のお湯が張られています。透明度は15cmくらいでしょうか。松代1号井と旧1号井の混合泉なんだそうです。味や匂いは一陽館の加賀井1号泉より濃いかもしれません。なにしろ溶存物質が13610mg/kg(1号泉)と16560mg/kg(旧1号泉)を合わせているのですから、濃くて当然でしょう。口に含むとかなりしょっぱい鹹味を有し、金気味や炭酸味もかなり強く、出汁味や石灰味もしっかり。塩ビの湯口から出るお湯は無色透明ですが、外気に触れるとたちまち変色しちゃうものと思われます。お湯の投入量もかなり多く、ドバドバ注がれるお湯は浴槽全体に流れを作り、まるで川のような状態で排水溝へと流れていきます。
浴槽の縁や側壁の湯面付近には、析出が冷えて固まったものが庇のような造形を生み出していました。温泉成分の濃さが目でもわかるって、ファンにしてみればこの上なく嬉しいことです。
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温泉風情はあまりありませんが、お湯の濃さは秀逸。ちょっとぬるめなので、かなり長湯できました。お宿の方でも1時間位の入浴を推奨しています。炭酸のパワーのおかげか、湯あがりは体の芯からポカポカです。
松代1号泉
含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 38.8℃ pH6.4 湧出量不明(掘削自噴) 溶存物質13610mg/kg 成分総計14480mg/kg
松代旧1号泉
含二酸化炭素-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 38.8℃ pH6.5 湧出量不明(掘削自噴) 溶存物質16560mg/kg 成分総計17580mg/kg
長野電鉄屋代線・松代駅より徒歩20分弱(約1.6km)
長野県長野市松代町東条15 地図
026-278-2644
8:00~21:00
350円
備品類なし
私の好み:★★★
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