岳の湯温泉 ゆけむり茶屋

熊本県

 
湧蓋山北西麓に位置する岳の湯集落には高熱蒸気の噴出地帯があり、集落のあちらこちらから白い湯気がモクモクと上がっていて、温泉好きな人間なら誰しも興奮してやまない光景が広がっています。集落ではその噴出する蒸気を「地獄蒸し」として食材のボイルなどに利用しており、噴気口が露出している場所のみならず民家の軒先にも「地獄蒸し」が設置されていて、地熱と人々の生活が密接に結びついていることがよくわかります。


当然温泉も湧いており、このような地元民専用の湯小屋も建てられています。どんなお風呂なんでしょうね。入ってみたいなぁ。


さてこの集落のど真ん中にある公営の日帰り入浴施設が「ゆけむり茶屋」。地元の木材を用いて建てられた落ち着いた雰囲気の建物の中には、温泉浴場の他、地場農産品の産直販売所やイートインコーナーなどが設けられており、早い話が地域振興を目的とした観光施設になっています。
この手の入浴施設は得てして使い勝手は良くてもお湯に難がある場合が多いのですが、果たしてこちらはどうでしょうか。


敷地内には湯煙が昇るオブジェが置かれています。もちろん湯気は本物です。この他にも実際に調理できる地獄蒸しの器具も設けられていました。

 
よく手入れされた使い勝手のよい脱衣所を抜けて浴室へ。浴室内には大きな内湯とサウナ、水風呂がそれぞれひとつずつ。サウナは高熱蒸気の豊富な当地らしく、温泉蒸気を利用した蒸し風呂になっています。
お湯は無色透明。30%加水しているためか、分析表では「微硫化水素臭・微塩味」と表記されていましたが、お風呂では匂い・味ともあまり感じられませんでした。加水されているとはいえ、お湯はしっかり掛け流しており、鮮度感も実感できました。

綺麗で使い勝手も良くてお湯も掛け流し。サウナも温泉を活用している。これだけ良い条件が揃っているのに、あくまで個人的な意見ですが、なぜかこの浴場はあまり印象に残っていないんです。お風呂と産直売り場と食堂が一緒になっているような公営施設って、竹下内閣のふるさと創生事業以来、全国至るところに建設され、それぞれで地元の魅力を発信しようと苦心しているようですが、結局は大同小異で似たり寄ったりになってしまう場合が多い気がします。私はそれと同じ印象をこの「ゆけむり茶屋」にも抱いてしまったに違いありません。せっかく地熱資源が豊富なんだから、お風呂とサウナなんて当たり前の設備じゃなく、岩盤浴や多種多様な蒸し風呂など、近隣の温泉施設とはちょっと違ったテイストで勝負したほうがいいんじゃないかと思うのですが…。ま、一個人の勝手な発想なんですけど。

(以下、与太話)
でもお湯とは関係ない部分で記憶に残っていることがひとつ。湯船に浸かっていると後から地元のお爺さんが入ってきて、明らかな他所者である私に話しかけてきました。「どこから来たの?」から始まって四方山話に花を咲かせたのですが、お爺さんの話を聞いているうちに東京の地名が頻出することに気付き、なぜそんなに東京について詳しいのか聞いてみたのです。するとお爺さんは「陳情に行くことが多かったからね」と答えてくれました。最近は行っていないが、数年前までは地元代表団の一人として度々永田町や霞が関に飛んでいたそうです。そして「松岡先生にはお世話になったもんだよ」と語っていました。松岡先生って、典型的な族議員でいろんな疑惑が掛けられ西のムネオと呼ばれた挙句に自殺してしまった松岡利勝のことでしょう。なるほど松岡氏は阿蘇の人間でしたね。族議員の利益誘導政治には怒りを覚えますが、でも地方の方々にとっては救世主である側面も否めず、都会に住む私がお爺さんに対して松岡氏の行状についてあれこれモノ申す筋合いは無く、そもそも政治の話はややっこしい展開になってしまうので、もうそれ以上はお茶を濁すことにしたのですが、もしかしてこの「ゆけむり茶屋」もいわゆるハコモノとして建設されたものだったりするんでしょうか。どうでもいい妄想ですが、もしこの施設が明確なビジョンの無いハコモノであるならば、施設としての面白みが欠如しているのも当然かと思ったりもしました…。以上、床屋談義以下の無駄話、大変失礼いたしました。

ナトリウム-塩化物温泉 97.8℃ pH8.69 掘削自噴(222m、湧出量不明) 溶存物質2445mg/kg 成分総計2445mg/kg 

熊本県阿蘇郡小国町西里岳の湯2816  地図
0967-46-5750

10:00~21:00 木曜定休(祝日の場合は営業)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

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