しばらく津軽地方の鄙びた公衆浴場ばかりを立て続けに取り上げていたら、あまりに地味でマニアックすぎたためか、当ブログのアクセス数は下降線を辿ってに減少傾向となり、昨日には遂に最近の平均値の3割にまで落ち込んでしまいました。このため、さすがにテコ入れしなきゃいけないなという危機感に苛まれ、今回は世間様に迎合すべく、どんな人でも感動してしまう超有名温泉ホテル「栗駒山荘」を取り上げてみます。鄙びた温泉が好きな私も、さすがにこちらの露天風呂には圧倒されてしまいました。
客室やお風呂からの眺望が評判で人気を集めるこのお宿は、週末や観光シーズンは予約がすぐに埋まってしまいます。今年(2011年)も紅葉の時季を迎える9月下旬から10月にかけては連日満室のようです。そもそも私のような一人旅の男にはお呼びでない施設であるともいえるでしょうから、日帰り入浴でささやかにお邪魔させていただくことに…。
駐車場の隅っこには足湯が設けられており、こちらは無料で利用できます。晴れていれば鳥海山まで眺望できる素晴らしいロケーション。
モダンなログハウス調の館内は天井が高く、ガラスを多用しているので開放的。それでいてとても落ち着いており、洒落た空間が広がっています。かといって敷居が高いわけではなく、日帰り入浴も積極的に受け入れており、受付の隣には専用の券売機を設けているほどです。
公営の施設とは思えないシックで良い雰囲気。わずか600円しか支払っていませんが、リゾート地にいるような優雅な気分になって浴室への通路を歩きます(実際は大したことないのかもしれませんが、普段私が泊まっているのは安宿なので、相対的に立派に見えてしまうのです)。
脱衣所も広々していて使い勝手良好。総木造でこげ茶の落ち着いた色調により統一されています。床は柔道場のような正方形の畳敷きなので、足の裏がとっても爽快。建設コストは相当かかってるんだろうな…。
内湯は大きなガラスに面した展望風呂。カランも数多く用意されており、使い勝手の面は文句なし。でも真水が不足しやすい立地なので、カラン利用時には節水に協力しましょう。
露天風呂は内湯の浴槽と平行に据えられており、眺望できる方向は内湯と同様ですが、高原の爽快な風に吹かれながらの湯あみは言葉で表現するのが難しいほど素晴らしく、お客さんも皆さん露天風呂へと集中してしまいます。かく言う私もその一人。
訪問時は西日がまぶしかったのですが、目下の小さな高層湿原、栗駒山麓、そして奥羽山脈の稜線が広がるパノラマを眺めながら、硫黄たっぷりの温泉に入れるのですから、感動しない人なんているでしょうか。順光で気象条件が良ければ鳥海山まで見えるんだそうです。
お湯はお隣岩手県の須川温泉から引いてきた強酸性の硫黄泉で、口腔を収斂する酸味+鉄味+塩味などが複雑にまじりあう個性的な味と硫化水素臭がはっきり感じられます。源泉から引湯する間にお湯がこなれてくるのか、須川で入るよりは質感が若干柔らかくて優しく、須川の露天風呂のような見た目の青みは見られません。また上州の草津温泉のような皮膚への刺激もあまり無かったように思います。
湯使いの違いなのか、あるいは外気温の影響の有無なのか、内湯は白濁の度合いが強いのですが、露天はそれほど濁っておらず、むしろ透明に近い感じすら受け、そのかわり、微細に分散した粒子(コロイド)が固まって、目で容易に確認できるほどの湯華となってお湯の中を舞っていました。
お湯は良いし、空気も澄んでるし、そよ風が気持ち良いし、眺めも最高。私はここで2時間近く入浴しつづけちゃいました。たとえ宿泊できなくても、日帰り入浴で是非入っておきたい露天風呂です。すぐ近所の須川温泉露天風呂のシンプルさに抵抗感がある方や、綺麗なお風呂に入りたい方にはぜひこちらをおすすめします。
仙人温泉
(源泉所在地 岩手県一関市厳美町字祭畤山国有林46林班ト)
酸性・含鉄(Ⅱ)・硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 48℃
秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字仁郷山国有林 地図
0182-47-5111
ホームページ
日帰り入浴9:00~18:00(最終受付17:30)、冬季休業
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
コメント
そうなんですか?
K-Iさんがアクセス数を気にしていたとは?自分的には、K-Iさんの主観で良い物は良いと言った具合で記事にしてたと…!どの記事でも素晴らしいものばかりなので、今後もいちファンとして色々と楽しみにしてます!
おはずかしい…
ぱとさん
ありがとうございます。仰る通り、私の主観で記事を書いていますが、書き込むためにログオンすると、その際にアクセス数がグラフで表示されるので、イヤでもグラフの曲線が気になっちゃうんです。
でも大丈夫です。メジャーな温泉はあまり好みじゃないので、今後も数を気にせずマイナーな温泉メインで取り上げていくつもりです。まだまだネタはたくさん溜まっていますし(^^)
楽しみにしてます
温泉に対しての姿勢や分析力、感性、行動力、文章力どれを取っても感服致します!これからの記事が楽しみでしかたありません…!最近の自分は温泉とその土地の旬の食材探しの居酒屋廻りと成ってます、今月も張り切って温泉巡り致します!
ありがとうございます
ぱとさんも是非温泉の情報を教えて下さいね。
なお今週は諸般の都合で週末まで更新できませんので、申し訳ございませんがご了承ください。
この温泉ブログを見つけて感激しております
これほどにお湯そのものの魅力を存分に味わっている方がおられるのだと平伏いたします。
そして、わかりやすく的確で毎日楽しんで拝見しております。
私でも行けそうなところをいくつかみつかり、時間をみて行くのが楽しみになりました。
この栗駒山荘にも是非行ってみたいです。
秋田県の金浦温泉は行かれましたでしょうか~
学校の跡地に造られ宿泊もできるようです。
2種類の湯にはいれます。
Unknown
ちゃたろうくんさん、こんばんは。
平素よりご高覧くださり光栄です。より多くの方に温泉へ出かけてほしいという願いが、このブログを続けている大きな理由ですので、「時間をみて行くのが楽しみになりました」と仰っていただくと、本当に励みになります。ありがとうございます。今後とも宜しくお願い致します。
>金浦温泉
存在は存じ上げておりますが、まだ行ってないんです。訪問したいリストには含まれておりますので、近いうちに訪問したいと思っております。
金浦温泉
金浦温泉は硫黄臭のお湯と北投石(?でしたか)の2種があります。
学校の跡地なので学校の歴史を記すコーナーがあり、卒業生の同窓会の写真があったりでほほえましいです。
また、廊下の壁には我が子がアトピー性皮膚炎で西洋医学では何ともならず苦悩した方がここのお湯で回復した、という感謝の手紙が貼られてあります。
温泉の効能というのは確かにあるのでしょうか~
そういう意味ではK-1さんは病気知らずですね^。^
あ、そうそう中庭で秋田比内鶏と烏骨鶏を飼っていて、
運がよければその卵を購入できます。
味はあれ~?ですか^・^ 特別の感激はなかったです。
Re:金浦温泉
>ちゃたろうくんさん
金浦温泉には益々興味が湧きました。学校跡という誰しもが童心に戻ってしまうロケーションが良いですね。西伊豆の「やまびこ荘」も廃校を転用した宿でして、良質な温泉に入れる面白い施設です。
>温泉の効能
私も各地の温泉で入浴客から「医者に見放されたけど、温泉入ってたら恢復したよ」という話をよく聞きます。実際のメカニズムはわかりませんが、転地効果による精神的な効果の他、ゆっくり温まって循環器系を活発にさせることによって自己治癒力が高められるのかもしれませんね。
ちなみに、私の場合は温泉に入り過ぎて湯あたりを起こしてしまい、却って体調を崩しがちです(^^)
Unknown
温泉の効果は精神、温まりが大きな要素とお考えなのですね。
あるリンゴなどの果物生産者の方が深海層などに含まれるミネラルが果物をおいしく、色よくする、と言ってました。
兵庫県あたりにひときわ長生きの地域があり、調べた結果それに気づかれたそうです。
それで現地からミネラル(岩を粉にしたものです))の肥料を仕入れて農園にまきおいしい果物を作っておりました。実際そのりんご、ラフランスをいただきましたが、抜群においしかったです。 そしてなお日持ち(変質しにくい)すると言っておりました。不思議なことがありますね。
ここで前回の文の訂正です。
金浦温泉は学校跡地ではなく学校跡がそのまま施設になりました。
今後もよろしくお願いいたします。
Unknown
>ちゃたろうくんさん
ミネラルのお話、大変興味深いですね。生物にミネラルは必須ですが、それをふんだんに吸収することにより、人間の健康増進に役立つのはもちろんのこと、農作物まで実り方が違ってくるんですから、とっても面白い話です。温泉の場合は、濃厚なお湯が良いという方もいれば、成分が薄い単純泉の方が体に合うという方もいらっしゃいます。自分の体に適する温泉を見つけるのも、温泉巡りの楽しいところかもしれませんね。